シルバーの焼きなましについて解説しています。
炎の当て方に注意
板でも棒材でも同じですが、シルバーは熱の伝導率が高いため、全体的に炎を当てる必要があります。
”熱の伝導率が高い”という事は、1ヶ所に火を当てると、熱が周囲に伝わっていく(逃げていく)という事です。
そのため、なるべく対象物全体の温度が上がるように炎を当てていきます。
特に棒材の場合は、地金に対して、斜めに、なるべく平行に近い感じで炎を当てるようにします。
地金表面の色の変化を観察する
地金に炎を当てると、表面の色が変化します。
棒材だと分かりにくいですが、板材などで観察してみると次のように変化します。
なお、地金に炎を当てる際は、なるべく照明を消した状態で観察するようにします。
○地金表面の色の変化
- 茶褐色に変化
- 白っぽく変化
- ほんのり赤味を帯びる
- 真っ赤になる
- 表面がぎらぎらする
上記の4番目以降は”やり過ぎ”です。
地金が溶けてしまいます。
3番目のほんのり赤味を帯びた状態で、地金の温度は約700℃くらいになります。
この状態で急冷すると、シルバーは非常に柔らかくなります。
この記事の後半では、動画で解説していますので合わせて確認してみて下さい。
加熱後、急冷する
地金表面が、ほんのり赤味を帯びたら、ひと呼吸おいて急冷します。
シルバーは火を当てると、表面が酸化しますので、希硫酸で洗う必要がありますが、急冷の際、水で急冷して希硫酸で洗う方法と、直に希硫酸で急冷する方法があります。
○水で急冷する場合
水で急冷した後、90℃~100℃くらいの希硫酸に入れて酸洗いします。
常温の希硫酸に入れた場合ですと、酸化膜が取れるまで時間がかかりますのでご注意下さい。
○希硫酸で急冷する場合
加熱後、直で希硫酸に入れると、酸化膜が早く取れます。
ただし、加熱したシルバーを希硫酸に入れると、ガスが発生して危険です。
直に希硫酸で急冷する場合は、地金を放りこんで、すぐにフタをして下さい。
シルバーの焼きなましを動画で解説
動画では、炎の当て方についての説明と、色の変化、急冷するタイミングについて解説しています。
また、動画では希硫酸で急冷していますので、参考にして下さい。