彫金をはじめたばかりの初心者の方が最初に買いたい機械工具が
「リューター(マイクログラインダー)」
だと思います。
リューターもメーカーによって様々な種類があるうえ、
数千円~十数万円までの品があり
初心者の方はとても悩むと思います。
どの位の作業頻度で、どの程度の精度を求めるかによって、購入するリューターは変わってきます。
そのため、多くの記事や動画で、複数台のリューターを紹介していますが、この記事では、
初心者におすすめのリューター1台
に絞ってご紹介します。
また、長くリューターを使用していくうえで、
注意点やデメリット
についても合わせて解説してまいります。
ぜひ最後までご覧下さい。
リューターおすすめの1台
今回は、
初心者におすすめのリューター1台
に絞ってご紹介します。
私もこれまで、数種類のリューターを使ってきました。
- ホビー系シャフトモーター(約5千円)
- プロクソン(PROXXON) ミニルーター(約1万円)
- Tp’s ハンドモーター(約5万円)
- ナカニシNSKグラインダー(約12万円)
- フォアダム・フレキシブルシャフトモーター(約7万円)
結論からいうと、
1万円以下の低価格品はやめましょう。
なぜなら、長時間の作業を行うと、ハンドピースやモーター部分が熱を持ってしまい、
長時間の継続作業が困難だからです。
なお、約5万円で購入した「Tp’s ハンドモーター」は壊れてしまい、現在は使用しておりません。
今回、おすすめしたいのは約2万円で購入できるリューター
S&F マイクログラインダー Twister 200
です。
おすすめしたい理由はもちろんですが、
- 長く使うために気をつけたいこと
- 低価格品のデメリット
も合わせてご紹介していまいります。
デメリット
まずは、いきなりデメリットから。
低価格を実現しているという事は、それだけ、
原価を抑えているという事です。
だから、
安いなら安いなりのデメリット
があるだろうと、私なりに調べたところ
5つもありました。
デメリットとなるポイントは次の5つです。
- トルク弱め
- デジタル表示ではない
- 機種によってばらつきがある
- モーター内のカーボンブラシ消耗
- プラグが抜けやすい
5つもあるのか!
という感じですが、長く使っていくうえで大事な事ですので、
細かくチェックしてください。
トルク弱め
1つ目は「トルク(パワー)が少し弱い」という事です。
トルクとは、対象物に強く押しつけた時に、
回転数を落とさず回り続ける馬力です。
正確な数値は図っていませんが、「S&F マイクログラインダー Twister 200」のトルクは少し弱く感じます。
とはいっても、普段の作業において、強く押し付ける場面がそうあるわけではないので、
気になるほどではありません。
デジタル表示ではない
2つ目は「デジタル表示ではない」という事です。
デジタル表示のメリットは「再現性があること」です。
製品を量産する場合などにおいて、毎回、違う結果になってしまったのでは、仕上がりにばらつきが出てしまいます。
その点、デジタル表示であれば、毎回、同じ再現で加工可能になります。
ただ、普段の作業において、
デジタル表示ではない事の不便さは、さほど感じることはありません。
機種によってばらつきがある
3つ目は「機種によって回転数にばらつきがある」ということです。
複数台持っているからこそわかる事ですが、数台、同じ目盛で使用しても、その回転数は少し異なるようです。
恐らく「モーターに個体差がある」のだと思いますが、そもそも、個人の作家であれば、
リューター1台あれば充分なので、全く気になりません。
モーターのカーボンブラシ消耗
4つ目は「モーターのカーボンブラシ消耗」です。
ほとんどのモーター製品に共通する事かもしれませんが、リューター内のモーターの通電や火花発生を抑制するために「カーボンブラシ」という部品があります。
このカーボンブラシは、リューターの使用と共に、
少しずつ摩耗していきますので、いずれ交換が必要です。
カーボンブラシ自体は、千円位で購入できるし、
精密ドライバー1本あれば、簡単に交換できます。
リューターを使用して
「なんか音がおかしい」
と思ったら、カーボンブラシが摩耗している可能性があります。
このことを頭に入れておいてください。
交換の時期はリューターの使用頻度によりますが、
毎日酷使するのでなければ、だいぶ長持ちします。
プラグが抜けやすい
5つ目は「プラグが抜けやすい」という事です。
ハンドピースとコントローラー本体を繋いでいるプラグですが、
少し緩くて、強く引っ張ると抜ける場合があります。
作業中に抜ける事はあまりありませんが注意が必要です。
おすすめの理由
ここからは、
「S&F マイクログラインダー Twister 200」
をおすすめする理由をご紹介します。
ポイントは、
- 回転数
- 音
- ハンドピース
- 精度
- フットスイッチ
- 価格
です。
デメリットをはるかに上回るメリットがあります!
回転数
まずは「回転数」です。
回転数をあまり気にされる方はいないかもしれませんが、地金に穴を開けたり、削ったりする切削の作業工程と、研磨剤をつけて表面を磨く研磨の作業工程では、
回転数で結果が全然変わってきます。
そのため、できるだけ、
幅広い回転数が実現できるリューターが望ましいです。
「S&F マイクログラインダー Twister 200」の回転数は、
3,000~35,000回転と幅広い回転数を実現しています。
音
次は「音」です。
マンションやアパートの一室で作業される方も多いと思いますので、
できるだけ騒音は避けたいものです。
「S&F マイクログラインダー Twister 200」が、静音設計とは言えませんが、騒音というほどうるさくはありません。
実際、インスタを中心に活動している個人作家の多くは、このリューターをマンションやアパートの一室で使用しており、音に関しては問題がありません。
ハンドピース
次に「ハンドピース」です。
長時間作業をしていても苦にならないよう、
ハンドピースにこだわるのが大事です。
リューター選びで着目したいのは
「重さ」と「大きさ」です。
重いと持っていて疲れますし、大きすぎると、作業がしにくいからです。
私が約20年やっている、仙台の彫金教室では、約25名ほど生徒さんがいます。
女性の方が9割ですが「S&F マイクログラインダー Twister 200」を問題なく使用しています。
長時間、作業する場合も多いのですが、特に苦情は出ておりません。
精度
次に「精度」です。
さすがに、高価格のリューターと比較すると、やはり多少劣ります。
しかし、目立ったブレはなく、精密な研磨や彫刻等、
細かな彫金作業には問題ありません。
フットスイッチ
次に「フットスイッチ」です。
手元スイッチだけでも充分ですが、
ON/OFFのフットスイッチがあれば作業が捗ります。
「S&F マイクログラインダー Twister 200」には、
標準でON/OFFのフットスイッチが付属
していますので、作業において非常に便利です。
価格
最後が「価格」です。
同程度の伊能を備えたリューター4~5万円のものと比較すると、約2万円で購入できる「S&F マイクログラインダー Twister 200」は、
とてもコスパが良いと言えます。
しかし、昨今の社会情勢により、部品価格や物流の価格が上がっていますので、近い将来、
「S&F マイクログラインダー Twister 200」の価格も上昇すると考えられます。
実際、発売された当時は19,000円位で買えていましたが、現在は2万円を超えてしまいました。
購入を検討している方は、値上がり前に、なるべく早く購入される事をおすすめします。
実際の評判は?
実際に使った人の感想を調べてみました。
楽天の商品ページに記載されているレビューから口コミを抜粋してご紹介します。
中古のリューターは大丈夫?
物価高の今、
中古のリューターを購入するのも選択肢です。
新品で購入するよりも安く購入できますし、使用頻度がそんなに多くなければ、
比較的良い状態で購入する事ができます。
ただし、注意しなければならないのは、
目に見えない、機械内部の劣化や摩耗です。
外観は綺麗でも、機械内部の部品が消耗していたり、劣化している場合は、
早々に修理が必要になってくるかもしれません。
また、最近の機種であれば問題ありませんが、ひと昔前の機種だと、
部品の調達が困難な場合があります。
その場合、思いがけない出費になったり、最悪の場合、
修理ができず、新しく買い替える事になります。
中古品を購入する時は、次の点に注意しましょう。
- 見た目だけで判断しない
- 問題なく作動するか確認する
- 現行品として流通しているかどうか
- 購入してどのくらいの年月が経っているか
コスパがいいリューターとは?
ここからは、「S&F マイクログラインダー Twister 200」を購入した私の感想になります。
私は今、ナカニシというメーカーの「NSK E-max」というリューターを使っています。
かれこれ、15年くらい使っていますが、ハンドピースが摩耗してしまい、
新たに購入して三代目になります。
このハンドピース自体が結構高く、
ひとつ約5万円です。
なので、
- 当初購入代金:約12万円(ハンドピース付属)
- ハンドピース買替え:約5万円×2本=約10万円
- 合計:約22万円
となり、
なんと、
「S&F マイクログラインダー Twister 200」が
約10台買えてしまいます。
個人作家で、
通常の使用量であれば2~3年は持ちます。
「S&F マイクログラインダー Twister 200」は消耗品と割り切って、買い替えたとしても、
上位機種よりずっとコスパが良い
という事がわかると思います。
また、機械類は毎年のように、
安くて良い製品が出てきます。
そのため、まずは約2万円のリューター
「S&F マイクログラインダー Twister 200」
をおすすめします。
↓YouTubeでも紹介しています。
おすすめのリューターまとめ
以上、今回は、初心者におすすめのリューター
「S&F マイクログラインダー Twister 200」
をご紹介しました。
「S&F マイクログラインダー Twister 200」は、
業界の中でも最安値と言って良い製品です。
おすすめのポイントをまとめると、
- ・幅広い回転数を実現
- 3,000~35,000回転の広範囲な設定が可能で作業領域が広がる
- ・音が比較的静か
- 完全な静音設計ではないが騒音は控えめで、集合住宅でも使用しやすい
- ・ハンドピースが使いやすい
- 重さと大きさが工夫されており、長時間の使用でも疲れにくい設計
- ・精度も割と良い
- 高価格のリューターには劣るものの、ブレが少なく精密な作業が可能
- ・フットスイッチが標準付属
- ON/OFFのフットスイッチが標準装備されており、作業効率が向上する
- ・手に入りやすい価格
- 約2万円で購入可能でコストパフォーマンスが高い
「S&F マイクログラインダー Twister 200」は、
価格が約2万円と、初心者でも買いやすいリューターです。
ただ、昨今の社会情勢の中、
いつ値上がりするかわかりません。
まだリューターを持っていない方は、
なるべく早く購入するようにしましょう。