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指輪の作り方!彫金で作るやり方②:基本工程と具体的な手順

指輪の作り方 目的別の作り方
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今回は、簡単なシルバーリングを例に、彫金で指輪を作る基本工程と、具体的な手順を解説して、指輪の作り方の全体像をご紹介致します。

 

なお、指輪を作る時に必要な工具と材料のリストは下記のページをご覧ください。

 

指輪のデザインを決める

今回は、写真のようなデザインの「すり出しリング」を制作します。

糸鋸とヤスリだけでデザインする基本の指輪の作り方をご紹介してまいります。

指輪の作り方「すり出しシルバーリング」

幅3mm、厚み1.2mのシルバーリング

 

指輪のサイズを決める

指輪には「サイズ」があります。

日本では主に「号数」を基準としたJCS規格が使われています。

 

他にもJIS規格がありますので解説致します。

日本の指輪サイズ表記「JCS規格」と「JIS規格」

 

JCS規格(Japan Custom Size)

古くから日本で慣習的に使用されている規格です。

1号大きくなるごとに「内周」が約1mm、「内径(リングの内側の直径)」が約1/3mm大きくなります。

 

JIS規格(日本産業規格)

国際規格(ISO)を受け制定されたもので、国際的に共通のサイズ規格になります。

指輪の「内周」を表しているため、一番小さいサイズでも41号という表記になります。

 

日本の指輪サイズ表

日本における指輪のサイズを表にしました。

JCS規格 リング内径 リング内周 ISO/JIS規格
1号 13 mm 40.8 mm 41号
2号 13 1/3 mm 41.9 mm 42号
3号 13 2/3 mm 42.9 mm 43号
4号 14 mm 44 mm 44号
5号 14 1/3 mm 45 mm 45号
6号 14 2/3 mm 46.1 mm 46号
7号 15 mm 47.1 mm 47号
8号 15 1/3 mm 48.2 mm 48号
9号 15 2/3 mm 49.2 mm 49号
10号 16 mm 50.3 mm 50号
11号 16 1/3 mm 51.3 mm 51号
12号 16 2/3 mm 52.4 mm 52号
13号 17 mm 53.4 mm 53号
14号 17 1/3 mm 54.5 mm 54号
15号 17 2/3 mm 55.5 mm 55号
16号 18 mm 56.6 mm 56号
17号 18 1/3 mm 57.6 mm 57号
18号 18 2/3 mm 58.6 mm 58号
19号 19 mm 59.7 mm 59号
20号 19 1/3 mm 60.7 mm 60号

 

展開した長さの計算方法

指輪を作る際には、展開した状態で必要な長さを計算する必要があります。

地金の長さを計算する方法は少し複雑になります。

 

詳しくは、下記の記事をご覧ください。

 

材料を用意する

デザインとサイズが決まったら、必要な材料(地金)を用意します。

 

今回は、規格品(定尺物)で販売されている

950銀平角線 3.0×厚1.2×500mm

を使用します。

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指輪の作り方全工程

材料が用意できたら、いよいよ制作に入ってまいります。

 

1.材料をカットする

まずは、サイズの長さに合わせて、用意した材料を糸鋸で切ります、

 

けがく

先ほど計算した長さピッタリの位置に、カニコンパスなどで地金に線を引きます(「けがく」と言う)

 

カニコンパスの使い方については、下記の記事も合わせてご覧ください。

 

糸鋸で切る

けがいたら、ケガキ線を残して地金を切ります。

 

糸鋸の使い方については、下記の記事も合わせてご覧ください。

 

両端を真っ平にする

この後、板を丸めて、ロウ付け(溶接)していきますが、指輪の端と端が合わさった時、隙間なくピッタリと合っていなければなりません。

 

そこで、丸くする前に、両端を真っ平にしておきます。

 

ここで平らになっていないと、両端を合わせた時にすき間ができ、ロウ付けがうまくいきません。

 

ロウ付けで失敗する人の多くは、すり合わせがちゃんとできていない事が大きな原因のひとつです。

 

素材刻印を打つ

今回は素材がシルバーなので「SILVER」の刻印を打ちます。

なお、刻印は板の状態で打刻する場合と、指輪が完成してから打刻する場合とあります。

 

刻印の打ち方については、下記の記事も合わせてご覧ください。

 

2.焼き鈍し

焼き鈍し(やきなまし)とは、地金に炎を当てて、素材を柔らかくする工程です。

 

バーナーで加熱する

全体に炎を当てて加熱していきます。

 

酸洗いする

地金自体がほんのり赤みを帯びたら、水または希硫酸(ピックリングコンパウンド)で急冷します。

水で急冷した場合は、そのあと希硫酸に入れて酸洗いを行ってください。

 

焼き鈍しについては、下記の記事も合わせてご覧ください。

 

3.ロウ付け

隙間なくピッタリ合わせたらロウ付けに入ります。

ロウ付け前に、接合部分に隙間が出ないよう合わせる必要があります。

 

丸めて両端を合わせる

ヤットコ、または芯金に板を当てて木槌で叩いて丸めていきます。

ロウ付けしない限り、真円にはなりませんので、この時点で指輪の形を気にする必要はありません。

板の先端を木槌で叩きながら、ピッタリと隙間が出ないように合わせます。

 

フラックスを塗る

シルバーは火を当てると酸化して、表面に酸化膜ができます。

酸化膜があると、ロウ付けができません。

そこで、酸化防止のための「フラックス」という薬品を合わせ目に塗ります。

 

ロウ付けする

合わせ目に「銀ろう(5分)」を乗せます。

銀ろうを乗せた側とは反対側にバーナーの炎を当てていきます。

焼き鈍しの色近くなったら、合わせ目に炎を移し、ロウ付けします。

接合部分に、ろうがにじみ出るような状態が確認できたら、ロウ付け完了です。

 

酸洗いする

加熱処理を行った後は、焼き鈍しの時同様、酸洗いを行ってください。

 

ロウ付けについては、下記の記事も合わせてご覧ください。

 

4.真円にする

次に、芯金(しんがね)に指輪を入れて丸めていきます。

 

内側の繋ぎ目を均す

芯金に入れる前に、指輪の内側の繋ぎ目を甲丸ヤスリで削って、均しておきます。

 

芯金に入れて叩く

芯金に入れ、木槌で叩きます。

芯金の太い方から見て、芯金と指輪の間に隙間がないようにします。

途中、指輪を反転させて芯金に入れ直し、指輪の両側から叩きます。

 

サイズをチェックする

サイズ棒に指輪を入れ、希望サイズになっているか確認します。

 

この後、内側を研磨するので、仕上がりサイズよりも、0.5〜0.3番程度小さいとベターです。

 

1号程度小さい場合は、焼き鈍し⇔叩くを繰り返す事で、地金が伸びますので調整が可能です。

 

大きくなってしまった場合は、ロウ付け部分をカットして、大きい分を取り除いて、再度ロウ付けする必要があります。

 

5.指輪を成形する

次に、指輪を成形していきます。

 

ロウ目を削る

ロウ付けした部分を平のヤスリで削って均します。

 

指輪の歪みをチェック

平らな所において、指輪が歪んでいないかチェックします。

 

幅を整える

次に、リング幅が均等になるよう、ヤスリで削って整えます。

 

すり出し

作りたいデザインに合わせて、まずは糸鋸で筋を入れます。

その後、三角のヤスリで糸鋸のバリを除去します。

 

指なじみ

「指なじみ」は、指輪の内側で、指に接する部分です。

特に、指輪の内側の角を滑らかにして、着け心地の良い指輪にします。

 

サイズ合わせ

指輪全体の成形が完了したら、再びサイズをチェックします。

ここで希望サイズに合わせます。

 

6.仕上げ

最後に仕上げを行います。

 

ヤスリ跡を落とす

余分なヤスリ跡を紙ヤスリまたはリューターで削って綺麗にします。

少しずつ番手を上げて目の細かいヤスリで表面を整えます。

 

バフで研磨する

ヤスリ跡が消えたら、バフを取り付けたリューターで研磨剤をつけながら磨いていきます。

 

バフと研磨剤の種類については、下記の記事も合わせてご覧ください。

 

洗浄する

超音波洗浄器で洗浄します。

超音波洗浄器がなければ、マジックリンや中性洗剤などを溶かしたお湯に1分ほど浸け、歯ブラシで汚れを取り除きます。

 

洗浄した後、水で濡らした重曹を指や歯ブラシにつけて全体を擦ると、脱脂の効果が現れ、シルバーの光沢が際立ちます。ぜひお試し下さい。

 

ロウ材について

今回、ロウ付けの際に使用した銀ろう材には、融点によって種類があります。

初心者の方は5分ろうと7分ろうから始めると良いでしょう。

「銀ロウ」の種類

融点によって種類がある

 

なお、ろう材については、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。

ろう材の種類

 

指輪作りの基本工程と手順まとめ

以上、今回は、指輪の作り方について、基本工程と具体的な手順をご紹介致しました。

まとめると次のようになります。

 

指輪の作り方の全工程

 

工程が多く複雑に感じますが、慣れると40分〜60分位で作れるようになります。

何よりも、数をこなす事が上達への近道ですので、今回の記事を参考に、たくさん作ってみて下さい。

 

下記の記事では、ジュエリーアクセサリーの作り方について3つの基本的な方法を解説していますので合わせてご覧ください。⇒「ジュエリーやアクセサリーを制作する3つの基本的な技法」を見てみる

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