彫金や貴金属加工など、
ジュエリー制作に必須のバーナー。
ガスバーナーは、プロパンガスや都市ガスと、空気中の酸素を混合させることによって
高温の炎を作り出す事ができます。
また、酸素バーナーは、最大2,000℃位までの炎を作り出す事ができます。
そして、私たちは、
このバーナーの炎を自在に操れなくてはなりません。
そのためには、「ガス」と「炎」に関する知識も必須となってきますので、詳しく解説してまいります。
下記の記事では、ろう付けについて詳しく解説していますので合わせてご覧ください。⇒「溶接やろう接の基本と実際のやり方」について見てみる
酸素自体は燃えない
バーナーの炎には、空気中に含まれる酸素が必要ですが、酸素自体は燃えません。
例えば、ろうそくに火をつけると燃え続けますが、コップをかぶせて空気を遮断すると、
燃えるために必要な「酸素」が失われるため、火は消えてしまいます。
まずは、酸素やプロパンガスといった「ガス」について詳しく解説してまいります。
可燃性ガスと支燃性(助燃性)ガス
ガスには
- 可燃性ガス
- 支燃性ガス
- 不燃性ガス
の3種類があります。
可燃性ガス
プロパンガスや水素など、通常、酸素などの「支燃性ガス」と作用して、光と熱を発して燃えるガスを「可燃性ガス」と言います。
彫金や貴金属加工などのジュエリー制作では、プロパンガスと都市ガスのいずれかを使用します。
支燃性ガス
酸素など、可燃性ガスが燃えるために必要なガスの事を「支燃性ガス」または「助燃性ガス」と言います。
彫金や貴金属加工などのジュエリー制作では、プロパンガスや都市ガスと、空気または酸素を混合させて炎を作り出します。
不燃性ガス
アルゴンガスや炭酸ガス、窒素などのように、燃焼しないガスのことを「不燃性ガス」と言います。
アーク溶接機やレーザー溶接機で使用される事が多いのがアルゴンガスです。
空気中のガス
私たちが住む地球の、大気中の99.9%は
- 窒素:78%
- 酸素:21%
- アルゴン:0.93%
で占められているそうです。(「日本地球化学会」より引用)
このうち、
炎の燃焼に必要なのは「酸素」だけです。
もし、酸素自体が燃えるガスだったら、私たちは生きていけませんね。
彫金等ジュエリー制作に欠かせない「バーナーの種類」について、下記の記事で初心者向けにわかりやすく解説していますのであわせてご覧ください。⇒「初心者向け!ロウ付けに必要なバーナーのおすすめは?【動画解説あり】」を見てみる
内炎(還元帯)と外炎(酸化帯)
炎は、大きく「内炎」と「外炎」の2つの部分に分かれます。
内炎(還元帯)
「内炎」は、未燃焼ガスや炭素などを含み、
還元作用があるため還元帯(または還元炎)とも呼ばれます。
外炎(酸化帯)
「外炎」は、燃焼ガスが、外部の空気に接触している部分で、
酸素を含み酸化性のため、酸化帯(または酸化炎)と呼ばれてます。
外炎底部
還元帯と酸化帯の移行部分、つまり、
内炎の頂点にある外炎底部が最も温度が高いため、
ろう付けや地金の溶解は、この部分で行います。
なお、空気取り入れ口を閉め、ガスのみで燃焼させた時は内炎ができません。
ヤニ台に用いる炎
また、石留めに使用するヤニ台を柔らかくする場合には、
空気を抜いて大きな炎とし、
温度の低い還元帯を使用します。
酸化帯を使用すると、灰になりますのでご注意下さい。
下記の記事では、ブローパイプの使い方について、動画を交えて解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「バーナー(ブローパイプ)の使い方【動画解説あり】」を見てみる
バーナー火炎のまとめ
今回は、バーナー火炎の内炎(還元帯)と外炎(酸化帯)及び、
ろう付けやヤニ台の作業における、炎のと取り扱いについて解説致しました。
いずれも、ガスを使用しますので、
炎の取り扱いには充分に注意して、安全に作業を行うようにしてください。
以下の記事では、初心者におすすめの彫金工具一覧をまとめましたのぜひご覧下さい。⇒「彫金を始めるための工具リスト」を見てみる