ジュエリーやアクセサリーにおける「ネックレス(necklace)」とは、首回りに着けるジュエリーの総称になります。
和装文化を持つ日本とは異なり、ジュエリー歴史の長い欧米では、ネックレスやブローチ、イヤリングといったアイテムが主役となり、他のジュエリーをリードしてきました。
近年、日本でも人気が高まり、色、デザイン、大きさ、重さも様々なデザインが登場し、首にぴったり合うものから長いもの、幅の広いものまで、多種多様なネックレスが見られます。
この記事では、「ネックレス」に焦点をあて、その種類と特徴についてご紹介してまいります。
長さによって異なる名称の違いや、形やデザインの組み合わせによるネックレスの種類についても合わせてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧下さい。
下記のページでは、ネックレスに必要なチェーン部材について12種類をご紹介していますので合わせてご覧下さい。⇒「ネックレスやブレスレットに必要なチェーン部材」を見てみる
ネックレスの基本タイプ
ネックレスには、いろいろな分類方法があります。
ここでは、簡単にネックレスの基本タイプをご紹介します。
ネックレスのタイプ一覧
- 1.チェーンタイプのネックレス
- 地金を中心としたチェーン部材で作るネックレス
- 2.ペンダントネックレス
- チェーンにペンダントやチャームを通したネックレス
- 3.宝石入りネックレス
- ネックレスの中心に宝石をあしらったもの全般
- 4.連ネックレス
- 真珠等玉状の宝石を連ねたもの。一連、二連、三連等あり
- 5.ワイヤータイプ
- 主に線地金を主としたしたチョーカータイプのネックレス
- 6.シャワータイプ
- 胸元に色んなパーツをつけ、外側に向かって開くようになったネックレス
- 7.ドッグネック(ドッグカラー)タイプ
- 犬の首輪のように首にピッタリと巻くチョーカータイプのネックレス
- 8.Y字チェーンタイプ
- 長いチェーンをアルファベットのY字状に組んであるネックレス
- 9.ラリエットタイプ
- 両端に飾りのついた長いチェーンを首に巻き付けるネックレス
- 10.異素材タイプ
- 貴金属チェーンやワイヤーの代わりに、布や皮、樹脂などの異素材を使用したネックレス
ここからは、ひとつずつ詳しく解説していきます。
和装文化が長い日本の代表格ジュエリーは「指輪」であると言えます。下記の記事では、指輪の構造、基本のデザインパターンについてシリーズでご紹介しています。⇒「指輪の基本構造と各部名称」を見てみる
1.チェーンタイプ
最もポピュラーなネックチェーンはきへい あずき等のように金属線を曲げて輪の形にしてつないだものですが、それ以外にも板や棒状や一定の形のパーツをつないだもの ネット状に編み込んだものなどがあります。
ネックレスのチェーンにはデザインバリエーションが多数あり、コマの形によって様々な名称がついています。
その主なものを紹介します。
小豆(あずき)チェーン
チェーンの基本型です。
輪が丸いものを丸あずき、四角いものを角あずきと言います。
喜平(きへい)チェーン
あずきの輪を90度ねじって両サイド (2面)を削ったのが「喜平(きへい)」です。
このアレンジでコマを6面削った「きへい6面カット」や、一つの輪に2本の輪をつないだ 「ダブルきへい」などもあります。
ベネチアンチェーン
箱の連なったチェーンで、かちっとして、胸元に優雅なネックラインを描きます。
ボックスチェーンともいいます。
ヘリンボーンチェーン
ニシンの骨に似ているために名付けられたのが「ヘリンボーン」です。
シンプルで嫌味のない線が好まれており、しなやかな曲線を見せます。
スクリューチェーン
ダブルきへいをねじったチェーンで、細い線のからみが軽やかで、重さのわりにはボリューム感があります。
渦巻き(Sカーブ)チェーン
「Sカーブ」とも云い、 渦巻きが連なったように見えるところから名づけられたチェーンです。
マリンチェーン
ヨットなどに使われている船の鎖の形状に似ているところから名付けられたチェーンです。
エレガント(スエッジ)チェーン
肌になじむ優しさで、表面をプレスすることによってシャープでエレガントな面を作り出したチェーンです。
ロープチェーン
ワイヤーやパイプ状地金をロープ状に編んだチェーンです。
イエローゴールドとホワイトゴールドの2色づかいもあり、大きなペンダントには合うチェーンです。
フォックステールチェーン
狐の尾に似た柔らかさを感じさせるところから名付けられたチェーンで 「編み込み」とも言います。
ネックラインに沿ったしなやかな曲線になります。
ボールチェーン
ボール状のパーツをつないだチェーンで、プレーンな味わいがあるオーソドックスなタイプのチェーンです。
ボールにカット面を入れたものを 「カットボール」 と言います。
切子(きりこ)チェーン
切子棒状のコマをひし形などにカットして、繋いだチェーンをいいます。
オメガチェーン
ギリシャ文字のΩ (オメガ)の形をしたパーツを連結したチェーンです。
首のつけ根に添うような長さが一般的なため 「オメガ・チョーカー」とも呼ばれます。
幅もユニフォーム (同じ幅)、 グラデーション(中央が幅広になっている)とあります。
下記の記事では、チェーンと合わせて必要は、引き輪やダルマカンなどパーツ部材についてをまとめましたので合わせてご覧下さい。⇒「ネックレスやブレスレットの制作に必要なパーツ部材まとめ」を見てみる
2.ペンダントネックレス
チェーンに、チャームやペンダントトップを吊り下げたものが「ペンダントネックレス」です。
ペンダントは「ぶら下がる」「吊り下げる」という意味があり、吊り下がった部分は「ダングリング(ダングル)」等とも言われています。
吊り下げるペンダントは様々で、小さな宝石入りのペンダントが吊り下がったものは「プチ・ネックレス(プチネック)」などと言われています。
3.宝石入りネックレス
ネックレスの中心に宝石をあしらったもの全般を「宝石入りネックレス」と言います。
ペンダントネックレスとの違いは、ペンダントが吊り下がっているのに対して、宝石入りネックレスはトップの左右両方が「両吊り」、あるいは、チェーンと一体化されている点です。
4.連ネックレス
真珠など、玉状の宝石を連ねたものが、連タイプのネックレスです。
玉の連なりによる種類
連タイプのネックレスには、一連、二連、三連等があり、全て同じ大きさの玉で連ねたもの、ネックレスの両端から中央にかけ、徐々に玉が大きくあんる「グラデーション」と呼ばれる連ね方もあります。
なお、この玉の連なりを「連相(れんそう)」と言い、玉のサイズや色、形、光沢、キズの有無等によって、バランスがよいものを「連相がいい」などと表現します。
素材による種類
連ネックレスの代表格と言えば真珠ですが、他にも次のような宝石が多く見られます。
- 珊瑚(さんご)
- 琥珀(こはく)
- 象牙(ぞうげ)
- 水晶
- その他ビーズ玉
玉の形状
玉の形状も様々で、丸玉以外にも
- 円筒形
- 四角柱形
- ライス形
- しずく形
など、様々な形状があります。
使われる糸の種類
連ネックレスには「糸」が多く使われます。
連ネックレス用の糸として、
- 絹糸
- ポリエステル糸
- ナイロン糸
など、各素材による糸が市販されています。
また、真珠などの場合は、糸が切れた際に、玉がバラバラにならないよう、玉の両端に結び目を入れて通す「オールナッツ(ノット)」と呼ばれる通し方があります。
5.ワイヤータイプ
「ワイヤータイプ」のネックレスは、主に「線地金」を主素材としたした、チョーカータイプのネックレスです。
シンプルに1本のワイヤーだけで作られたものや、数本のワイヤーで構成されたものなどがあります。
また、ワイヤーの中心にチャームやペンダントトップなどを通して、ワンポイントのアクセントとして楽しまれるデザインも多く存在しています。
6.シャワータイプ
胸元にあたる部分に、色んなパーツをつけ、外側に向かって開くようになったデザインのネックレスを「シャワータイプ」または「ビブネックレス(※)」と言います。
地金素材だけで作られたデザインから、宝石をちりばめたような豪華なデザインまで、様々なデザインのシャワータイプネックレスがあります。
7.ドッグネック(ドッグカラー)タイプ
犬の首輪のように首にピッタリと巻くチョーカータイプのネックレスが「ドッグネック(ドッグカラー)」です。
幅広のデザインが多く、チェーンを主体としたものや、パールなどのビーズを組み合わせたものなどがあります。
8.Y字チェーンタイプ
「Y字チェーンタイプ」は、長いチェーンをアルファベットのY字状に組んであるネックレスです。
カトリック教会で用いられる「ロザリオ」が最もわかりやすいデザインで、チェーンの間に宝石を入れたり、ヘッドの部分が2本に分かれたり、ヘッドの先端に宝石や飾りパーツを入れたものなどがあります。
9.ラリエットタイプ
両端に飾りのついた長いチェーンを首に巻き付けるネックレスが「ラリエット」です。
好きな長さで結んでつかったり、首に巻き付けたりと、いろんな表現ができます。
10.異素材タイプ
貴金属チェーンやワイヤーの代わりに、布や皮、樹脂などの異素材を使用したネックレスが「異素材タイプ」のネックレスです。
例えば、透明なテグスにパールをアトランダムに配置された「シースルータイプ」のネックレスや、皮ひもにペンダントやチャームを組み合わせたチョーカーなどがあります。
下記の記事では、ジュエリー制作に必要な「石留めの種類37種」と、その留め方の概要についてまとめましたので合わせてご覧下さい。⇒「【全37種】石留めの種類と技法」を見てみる
長さで違う呼び名
ここまでは、ネックレスの種類と特徴についてご紹介してまいりましたが、ネックレスの場合、その長さによっても名称が異なります。
そのため、チェーン部材からデザインを考えるのではなく、利用シーンから、ネックレスのデザインを検討するのも重要なポイントになります。
形やデザインの組み合わせによる名称
ここまでに紹介したベーシックなデザインの他、デザインの形状や組み合わせによって様々な名称があり、総称して「ファンシー」などと呼ばれています。
ここでは、
- コンバーチブル
- レース
- ツイスト
をご紹介します。
コンバーチブル
2個以上の留め具を使用し、1本のチェーンを繋げてロングネックレスとして使ったり、ネックレスとブレスレットに分割して使用できるようなデザインを「コンバーチブルタイプ」や「コンバーチブルセット」などと表現します。
使い勝手がよく、TPOに合わせてアレンジできるのが特徴的です。
レース
小粒のパールやビーズを、レース状に編んだり、レース布を使用したネックレスなどを「レースネックレス」と言います。
ツイスト
主に小粒の真珠を何本かの連ネックレスにし、それをねじって撚ったようなデザインを「ツイスト」と言います。
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ネックレスの種類まとめ
今回は、ネックレスの種類を一覧でご紹介致しました。
ひと言で「ネックレス(necklace)」と言っても、その種類は多種多様で、いろんなデザインがあることがわかりました。
ネックレスのタイプ一覧
- 1.チェーンタイプのネックレス
- 地金を中心としたチェーン部材で作るネックレス
- 2.ペンダントネックレス
- チェーンにペンダントやチャームを通したネックレス
- 3.宝石入りネックレス
- ネックレスの中心に宝石をあしらったもの全般
- 4.連ネックレス
- 真珠等玉状の宝石を連ねたもの。一連、二連、三連等あり
- 5.ワイヤータイプ
- 主に線地金を主としたしたチョーカータイプのネックレス
- 6.シャワータイプ
- 胸元に色んなパーツをつけ、外側に向かって開くようになったネックレス
- 7.ドッグネック(ドッグカラー)タイプ
- 犬の首輪のように首にピッタリと巻くチョーカータイプのネックレス
- 8.Y字チェーンタイプ
- 長いチェーンをアルファベットのY字状に組んであるネックレス
- 9.ラリエットタイプ
- 両端に飾りのついた長いチェーンを首に巻き付けるネックレス
- 10.異素材タイプ
- 貴金属チェーンやワイヤーの代わりに、布や皮、樹脂などの異素材を使用したネックレス
長さによる名称の違い
形やデザインの組み合わせによる名称
- コンバーチブル
- レース
- ツイスト
ネックレスのデザインを考える際には、ぜひこの記事を参考にしてみて下さい。
参考文献
下記ページは、初心者~中級者に向けた「ジュエリー制作のロードマップ」です。どこから始めたらいいかわからない方はぜひチェックしてみて下さい。⇒「ジュエリー制作のロードマップ」を見てみる