ジュエリー制作では素材として貴金属を使用します。
貴金属とは、
といった、稀少価値の高い素材です。
この記事では、ジュエリー制作における
貴金属の知識について解説してまいります。
これから彫金でジュエリー制作を始める方や、始めたばかりの方にとって、貴金属についての理解を深めることが非常に大切なことになりますので、ぜひ最後までご覧下さい。
シルバー、ゴールド、プラチナの特性
ジュエリー制作で使用する素材は、主に
・シルバー
・ゴールド
・プラチナ
です。
これらの素材が貴重な資源として尊重される理由は、
その美しい色調、希少性、そして化学的な安定性により、
空気中で容易に変質しないという特性にあります。
また、貴金属は展延性(てんえんせい)に富んでいるため、金槌などによって打ち延ばされ、加工を容易にします。
このような特性を持つ貴金属は、
ジュエリーの主要な素材として長い間使用されてきました。
シリーズ「貴金属の特性を学ぶ」では、貴金属が持っている特性について全5回にわたって解説していますので合わせてご覧下さい。⇒シリーズ「貴金属の特性を学ぶ」を見てみる
加工用の地金ができるまで
ジェエリー制作に使用する材料としての貴金属は、
「貴金属地金」または単に「地金」とも呼ばれます。
ジュエリーのデザインや加工に使用される貴金属地金は、
採掘、精錬、溶解・成型といった多くの工程を経て作られています。
加工用の貴金属地金の製造方法にはいくつかありますが、代表的な作業プロセスは次のようになります。
加工用地金製造のプロセス
また、主な生産国は、次のようになっています。
○シルバー
メキシコ、ペルー、ロシア、カナダ、アメリカなど○ゴールド
南アフリカ、ロシア、アメリカ、カナダなど、○プラチナ
南アフリカが最も多く、次いでロシアとカナダ
貴金属の起源
貴金属の歴史はとても古く、
人類との関係が最も長い貴金属はゴールドで、
紀元前4000年頃のメソポタミア時代から使用されてきたとされています。
ゴールドは、その美しさと耐久性から、最高の価値を持つとされ、歴史的な記念品や工芸品、ジュエリーに広く利用されてきました。
その後、
紀元前3500年頃にはシルバーも、
メソポタミアやエジプトで使用が始まりました。
しかし、シルバーはゴールドとは異なり、単独の塊として産出することは少ないため、ゴールドの後に利用が広まったと考えられています。
また、プラチナは紀元前700年頃の古代エジプトや、約1000年前のアンデス文明で使用されていましたが、
一般的に知られるようになったのは18世紀に入ってからで、特に1853年にカルティエがジュエリーに使用し始めたことでその価値が広く認識されるようになりました。
貴金属の歴史を時系列に並べると、次のようになります。
貴金属の歴史
プラチナと白金族
ジュエリー制作における貴金属地金は、シルバー、ゴールド、プラチナですが
「白金族」にも触れておかなければなりません。
白金族(platinum group metal: PGM)には
・プラチナ
・パラジウム
・ロジウム
・ルテニウム
・イリジウム
・オスミウム
が含まれており、
これらはプラチナ族とも言われています。
これらの素材は、その硬さと加工性の問題から、単独でジュエリー素材として使用することは難しいとされてきましたが、近年は、パラジウムやイリジウムを用いたジュエリーも登場してきました。
しかし、プラチナ以外の主な用途としては、合金を作る際の割金やめっきの材料として多く利用されています。
貴金属の知識まとめ
今回は「貴金属」そのものに焦点を当てて解説してまいりました。
貴金属をまとめると、次の8元素になります。
貴金属の種類と用途・特性・語源
古い歴史を持ち、稀少性の高い貴金属を「素材」として扱えるジュエリー制作。
地球が生んだ美しい素材を大切に扱い、
より魅力的な製品を作っていきましょう。
参考文献
下記の記事では「ジュエリー」と「アクセサリー」の違いについて解説していますので合わせてご覧下さい。⇒ジュエリーとアクセサリーの違いについて見てみる