ひと口にヤスリと言っても、形状、ヤスリ目の切り方、目の粗さによって様々な種類があります。
ジュエリー製作、彫金では主に「鉄工ヤスリ(金工ヤスリという場合もあります)」を使用します。
ここでは、鉄工ヤスリについての基本知識と、基本的な使い方について説明しています。
また、彫金初心者が最初に揃えたいヤスリも合わせてご紹介していますのでご覧下さい。
以下の記事では、初心者におすすめの彫金工具一覧をまとめましたのぜひご覧下さい。⇒「彫金を始めるための工具リスト」を見てみる
ヤスリの種類について
まずは、「ヤスリの種類」について。
ヤスリには、
- 形状
- 目の粗さ
にがあります。
ヤスリの形状
日本では「鉄工ヤスリ」と「組(くみ)ヤスリ」がJIS規格で規定されています。
彫金でもよく使用する「組ヤスリ」について説明します。
組ヤスリには、5本組~12本組まで種類があります。
この○本組とは、本来、ヤスリセットの本数の事ではなく、ヤスリの長さを現わしており、数字が大きいほど、短くなります。
- 5本組 全長約215mm
- 8本組 全長約200mm
- 10本組 全長約185mm
- 12本組 全長約170mm
ヤスリの目の粗さ
目の粗さにも種類があり、仕上げに合わせて使用します。
- 荒目(あらめ)
- 中目(ちゅうめ)
- 細目(さいめ)
- 油目(あぶらめ)
荒目から順に目が細かくなっていきます。
ヤスリが入らない細部の仕上げ方法について、下記の記事で解説していますので合わせてご覧ください。⇒細部の仕上げテクニック「ねずみヤスリ」を見てみる
ヤスリのかけ方
ここでは、ヤスリの基本的なかけ方についてお伝えします。
○直進法(ちょくしんほう)
ヤスリの長手方向に、まっすぐヤスリを進める方法です。
仕上げ面は滑らかに、ヤスリ目もまっすぐに揃いますので、最終仕上げに向いています。
○斜進法(しゃしんほう)
ヤスリを右前方に押し進める方法です。
一回での切削量が多くなりますので、荒削りに向いています。
○併進法(へいしんほう)
横ミガキともいい、対象物に対してヤスリを横に動かす方法です。
切削量は少なくなり、仕上げ面の目通しに使われます。
下記の記事では、ジュエリーアクセサリーの基本的な3つの制作方法を解説していますので合わせてご覧ください。⇒「ジュエリーやアクセサリーを制作する3つの基本的な技法」を見てみる
最初に揃えたいヤスリ
これからヤスリを揃える方は、以下の4種類のヤスリがあれば、ひと通りの作業がこなせると思います。
5本組ヤスリ・平と半丸
大きな面を削る5本組・平と、指輪の内側などを削る半丸のヤスリ。
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精密ヤスリ8本組セット
5本組よりも細くて使いやすい精密ヤスリ8本組。
目の粗さは、油目程度なので、5本組中目の後にかけるとヤスリ面が綺麗になります。
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精密ヤスリ12本組セット
より細部を削りたい時に重宝する12本組の精密ヤスリ。
セットで持っておけば、多様な場面で活躍してくれます。
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合わせて買いたいヤスリ
5本組・中目では大きすぎるor粗すぎる場合に重宝するのが、8本組・平と半丸の細目のヤスリです。
5本組・中目よりも細く、目が細かいヤスリになりますので、比較的小さな対象物に使用したり、中目の跡を整えたりと、使い勝手の良いヤスリです。
余裕があれば、5本組と合わせて購入しておくと良いでしょう。
下記の記事では、デザインによって異なるジュエリーの仕上げ工程について、その手順を解説していますのでご覧下さい。⇒「デザインによって異なるジュエリーの仕上げ工程」を見てみる
最初に揃えたいヤスリまとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、
「ヤスリの使い方についての基礎知識」
をお伝えいたしました。
- ヤスリには様々な形状がある
- ヤスリの目には種類があり、目によって荒さが異なる
- 仕上げに応じてヤスリのかけ方がある
実際にヤスリをかける時は、これらの知識を頭に入れつつ作業してみてください。
ヤスリと合わせて必須なのがバフと研磨剤です。下記の記事では、バフと研磨剤について解説していますので合わせてご覧ください。⇒「仕上げバフと研磨剤の種類について」を見てみる