ジュエリー制作時は要注意!宝石の耐久性とモース硬度について!

ジュエリー制作における宝石の耐久性とモース硬度について 宝石や天然石

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宝石の耐久性に関しては、プロでも誤解されることがあり、

“ダイヤモンドが一番硬い”と思っている方も多いかもしれません。

 

しかし、宝石の耐久性を考える場合、

・硬度
・靭性(じんせい)
・劈開性(へきかいせい)

などの総合的な判断が要求されますし、

宝石に施された加工処理の状況や宝石の有する傷や欠け、

内包物などの条件も考慮されなければ、

正確に判断することはできません。

 

そこで今回は、宝石の耐久性についてわかりやすく解説致します。

 

下記の記事では、ジュエリー制作に必要な「石留めの種類37種」と、その留め方の概要についてまとめましたので合わせてご覧下さい。⇒「【全37種】石留めの種類と技法」を見てみる

 

硬度 (Hardness)

一般的に硬さとは、引っかき、摩耗、押し込みなどに対する抵抗力と考えられます。

宝石の硬度を表す場合は、「モース硬度」と「ヌープ硬度」があります。

 

○モース硬度
引っかき硬度とも呼ばれ、硬さの順位を比較する

○ヌープ硬度
ダイヤモンドを利用した押し込み硬度測定方式で、実質的な硬さを測定する

 

 

全41種のモース硬度及び、宝石の取り扱い一覧表をデータベースにまとめてありますのでご活用ください。ブックマークしとくと便利です。⇒「宝石の取り扱い一覧表」を見てみる

 

モース硬度

「モース硬度」は、19世紀のドイツの鉱物学者モースによって考案されたものです。

 

硬度を表すものとして一般的に使用されており、最も柔らかい鉱物から最も硬いダイヤモンドまで、

10種類の標準となる鉱物を決め、その鉱物がどの標準石で傷がつくかの順位を決める硬度の測定方法です。

 

「引っかき硬度」とも呼ばれるモース硬度は、単なる硬さの順位を比較したもので、

硬さの度合いについて比較したものではありません。

 

たとえば、モース硬度10のダイヤモンドと9のコランダム(ルビー、サファイア)との硬さの実質的な差が、3~4倍以上もあることは判断できません。

 

ヌープ硬度

モース硬度は、単純に硬さの順位をつける、一応の硬さの目安を表わすものです。

 

これに対して「ヌープ硬度」は、モース硬度では判断できない、

硬さの度合いを判定するために、米国のヌープ博士が考案した方法が「ヌープ硬度」です。

 

ダイヤモンドを利用した押し込み硬度測定方式で、

それぞれの検査物の実質的な硬さを測定する方法になります。

 

下記の記事では、主な宝石の種類と性質について解説していますので合わせてご覧下さい。⇒宝石の種類と性質:宝石名とフォルスネームについて を見てみる

 

靭性 (Toughness)

硬度の定義が、引っかきや摩耗、押し込みなどに対する抵抗で表されるのに対して、

欠けや割れに対する抵抗を「靭性」と言います。

 

この靭性の方が、ある意味、

宝石の丈夫さにおいては重要で、衝撃に対する強さを表しています。

 

皆さんが、絶対的に強いと思われている

ダイヤモンドは、ハンマーで叩けば悲しいことに粉々に割れてしまいます。

 

また、仮にダイヤモンドに大きな傷が入っている場合は、「超音波洗浄器」で洗っても割れてしまうことがあります。

 

ダイヤモンドのように、モース硬度が10でも靭性が低ければ、簡単な衝撃で一瞬にして割れてしまう危険性があるという事になります。

 

宝石の硬さを言うときは、この靭性を言う場合が多い、という事を覚えておきましょう。

 

劈開性 (Cleavage)

宝石に打撃が加わった時、その結晶体が一定の方向に沿って割れたり、剥離したりすることを「劈開性(へきかいせい)」と言います。

 

宝石の中には、完全な形で劈開を生じる宝石がいくつかあり、これも宝石の耐久性に大きく影響があります。

 

例えば、トパーズは1方向に完全で、ダイヤモンドは4方向に完全という性質を持っています。

大きなダイヤモモンド原石の場合などには、こうした劈開性の性質を利用して、

ノミで一撃を加えることで、分割したりすることもあります。

 

ダイヤモンドは一見強そうに見えますが、実際にはデリケートで壊れやすい宝石です。

注意して取り扱うようにしましょう。

 

安心硬度

私たちの住む地球上の、塵や埃は大半が石英質の粉末です。

この石英は水晶と同じで、モース硬度7になります。

 

つまり、普通に身に着けたり、保管しているだけでも、

モース硬度が7以下の宝石であれば、自然と傷がつくという事になります。

 

下記の記事では、宝石のカット全25種類について、画像付きで詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「【全25種】宝石のカット種類一覧」を見てみる

 

宝石の耐久性についてまとめ

今回は、宝石の耐久性に関する重要な要素について解説致しました。

 

○硬度

・モース硬度: 引っかき硬度とも呼ばれ、硬さの順位を比較する
・ヌープ硬度: ダイヤモンドを用いて、実質的な硬さを測定する

○靭性(じんせい)

・欠けや割れに対する抵抗力のこと
・ダイヤモンドは靭性が低いため、衝撃で簡単に割れることがある

○劈開性(へきかいせい)

・結晶体が一定の方向に沿って割れたり、剥離したりすること
・トパーズは1方向に完全、ダイヤモンドは4方向に完全という性質がある

○安心硬度

モース硬度7以下の石は、空気中の石英質粉末によって傷つく事がある

 

特に、硬度、靭性、劈開性は、宝石の丈夫さや取り扱いにおいて大切なポイントです。

ジュエリー制作において、宝石の耐久性についてはよく知っておくようにしましょう。

 

参考文献

 

下記の記事では、デザインによって異なるジュエリーの仕上げ工程について、その手順を解説していますのでご覧下さい。⇒「デザインによって異なるジュエリーの仕上げ工程」を見てみる

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この記事では、宝石の耐久性とモース硬度について詳細に解説します。ジュエリー制作に携わる方に向けて、宝石の選び方や取り扱いに関する重要な知識を提供。硬度・靭性(じんせい)・劈開性(へきかいせい)・安全硬度など宝石の特性を理解し、耐久性と美しさを兼ね備えたジュエリー作品を作るためのポイントを学びましょう。
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