ジュエリー制作において、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すカット方法として、
ラウンドブリリアントカットが広く知られています。
しかし、「ラウンドブリリアントカット」の構成や、
その歴史や背景について、知らない人も多いようです。
そこで今回は、「ラウンドブリリアントカット」について、
その特性と歴史や生まれた背景を詳しく解説致します。
ジュエリー制作を行っている方やこれから始めたい方にとって、
ラウンドブリリアントカットの理解は必須です。
この記事を通じて、その魅力と技術を深く理解し、
あなたのジュエリー制作に活かしていただければ幸いです。
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ラウンドブリリアントカットとは
ラウンドブリリアントカットは、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すことができカットとして、最も人気があるカットです。
このカット方法は、
以下の7つの必須ファセット(研磨面)を持つことが特徴です。
- スターファセット
- ベゼルファセット
- アッパーガードルファセット
- ガードル
- ローワーガードルファセット
- メインパビリオンファセット
- キューレット
これら7つのファセットが組み合わさることで、ダイヤモンドはその最大の輝きを放つことができます。
7つのファセット
理想のプロポーション
下記の記事では、「ダイヤモンドの4Cによる評価と価格との関係」についてまとめてありますので、合わせてご覧下さい。⇒「ダイヤモンドの4Cによる評価と価格について」について見てみる
ラウンドブリリアントカットの歴史
ラウンドブリリアントカットの誕生は1800年代に遡ります。
当時、オールドマインカット(トリプルカット)として開発されたこのカット形状は、正面から見ると丸い形状に仕上がります。
このカット形状の開発には、”切断師ヘンリーDモース氏”が大きく貢献しました。
彼の開発した蒸気機関式のブルーティングマシーンの登場により、
ダイヤモンドの輪郭を比較的自由に設定できるようになりました。
ラウンドブリリアントカットの進化
1850年代以降、ラウンドブリリアントカットは飛躍的に進化しました。
インドやブラジル産の二次鉱床産出ダイヤモンドは自然に磨かれて丸くなっていたため、比較的簡単に丸く研磨することが可能でした。
一方、アフリカなどの一次鉱床のダイヤモンドは原石の輪郭が四角く、ラウンドカットに仕上げるためには強力なブルーティングマシーンが必要でした。
ラウンドブリリアントカットの最適化
1900年代に入ると、アフリカからのダイヤモンド供給が安定し、
ダイヤモンドの美しさをどのように引き出すかが重要となりました。
1919年には、数学者のマルセル・トルコフスキー氏が、
ラウンドブリリアントカットを、
どの角度で研磨すれば光の反射率が最も高くなるか
を光学理論を用いて発表しました。
しかし、その理論は1980年に不完全性が指摘され、
G.I.A.によって1988年に正しい形「エクセレントカット」が新たに発表されました。
現代のラウンドブリリアントカット
G.I.A.が発表したエクセレントカットは、
1990年にベルギーアントワープの研磨職人フィリッペンス・ベルト氏によって初めて達成されました。
彼はエクセレントカットを達成した後、1993年にはハート&キューピッドも完成させ、現在のラウンドカットダイヤモンドのスタンダードを作り出したのです。
下記の記事では、ジュエリー制作に必要な「石留めの種類37種」と、その留め方の概要についてまとめましたので合わせてご覧下さい。⇒「【全37種】石留めの種類と技法」を見てみる
ラウンドブリリアントカットのまとめ
今回は、「ラウンドブリリアントカット」について、
その特性と歴史や生まれた背景を詳しく解説致しました。
ラウンドブリリアントカットは、
ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すカット方法として広く知られています。
その歴史は1800年代に遡り、その進化と最適化を経て現在の形に至りました。
ジュエリー制作において、このカット方法はダイヤモンドの美しさを引き立てる重要な要素となっています。
この記事を参考に、ジュエリー制作に活かしていただければ幸いです。
参考文献
下記の記事では、宝石に関する専門用語について、ジュエリー業界における慣用語、取引単位についてまとめましたので合わせてご覧下さい。⇒「宝石の重量単位とジュエリー業界の慣用語や取引単位について」を見てみる