貴金属の地金から作品を制作する時は、通常、石枠などの細かいパーツから作ります。
様々なパーツを作成して、ロウ付けして組み立てて作っていく事になりますが、
何はともあれ、材料が必要です。
パーツを作成するために最低限必要な材料を作り出す事を「地金取り(じがねどり、じがねとり)」と言います。
お金を惜しまず、地金をふんだんに使える場合は、その都度、パーツ用の材料を作成しても問題ありませんが、
手元に限られた分の地金しかない場合は、効率よく地金取りをする必要があります。
そうしないと、1つの作品を作るために、何度も地金を溶解して伸ばさなければいけない、なんてことになりかねません。
そこで今回は、効率のよい地金取りについてご紹介致します。
下記の記事では、一点物と量産品のデザインプロセスについて詳しく解説していますので合わせてご覧ください。⇒「ジュエリーのデザインプロセス!一点物と量産品の違い」について見てみる
地金取りとは
ひとつの地金の固まりから、作品を製作するにあたって必要最低限の材料を取り出す事を「地金取り(じがねどり、じがねとり)」と言います。
例えば、平打ちの指輪を製作するにあたっては、製作したいサイズに合わせて角線や平角線を用意する必要があります。
まず、指輪を作るための地金を用意するには、
- 作りたい指輪のサイズ(号数)
- 号数から展開した地金の長さ
- 作りたい指輪の地金の幅
- 作りたい指輪の地金の厚み
といった情報が必要です。
仮に、シルバー950素材で、10号、幅3mm、厚みが1.5mmを作りたい場合、最低でも
長さ55mm×幅3.0mm×厚1.5mm(約2.6g)
の地金が必要になります。
しかし、実際には、
切って、削って、磨いた際に、元の材料よりも減ります。
そのため、やや多めに材料を用意しておかないと、
作りたい要件にあった指輪は作れなくなってしまいます。
だから、先ほどの要件で指輪を作りたい場合は、少し大きめに地金を用意して、
長さ60mm×幅3.2mm×厚1.6mm(約3.2g)
くらいの大きさから始めると、余裕をもって製作する事ができます。
下記の記事では、ジュエリーアクセサリーの作り方について3つの基本的な方法を解説していますので合わせてご覧ください。⇒「ジュエリーやアクセサリーを制作する3つの基本的な技法」を見てみる
なるべく粉を出さない
製作の過程で、「粉(粉地金)」が発生します。
粉地金も、溶解して再利用する事は出来ますが、2~3%は確実に減ります。
シルバーならまだ問題にはなりませんが、金やプラチナの場合、この2~3%の減りが大きな金額になりますので、できるだけ
「粉地金」を出さないようにしないといけません。
地金取りが上手くできれば、ヤスリをかける時間が短縮できますので
“粉地金”を最小限にする事ができます。
できるだけ粉を出さず、無駄なく地金取りを行う事は、貴金属地金を取り扱う私たちにとって、特に気をつけなければいけない工程となります。
不純物が多く混ざった粉地金やバフ粉は精錬に出す事で新たな地金として再利用可能です。下記の記事でご紹介していますので合わせてご覧下さい。⇒「貴金属地金の購入方法3パターンと精錬分析」について見てみる
製作する順番
地金取りを行う前に、実際に作品を作る際には、どのような順番で製作するかを考えてみます。
例えば、下記のような作品があった場合、次のような流れで製作します。
<指輪を作る順番>
- 石枠の作成
- リング腕の作成
- 石枠とリング腕のロウ付け
- 石留め
- 仕上げ
<ネックレスを作る順番>
ネックレスも同様に、各石枠を作成し、ロウ付けして組み立てます。
<ネックレスを作る順番>
- ペアシェイプカット石枠の製作
- ラウンドカット石枠の製作(爪留め)
- ラウンドカット石枠の製作(フクリン留め)
- パール芯立て用石座の製作
- 丸カンを含めてロウ付けして組立て
- 石留め
- 仕上げ
- チェーン取付け
地金取りを行う際には、これから製作する作品の製作工程をあらかじめ頭にいれたうえで、
地金の固まりから、
どのように地金取りを行うかを考える
ことがたいへん重要になってきます。
下記ページは、初心者~中級者に向けた「ジュエリー制作のロードマップ」です。どこから始めたらいいかわからない方はぜひチェックしてみて下さい。⇒「ジュエリー制作のロードマップ」を見てみる
地金取りの順番
ここからは、先ほどご紹介した作品を製作するにあたって、ひとつの固まりから、
どのような順番で地金取りを行うか
をご紹介してまいります。
今回は、ジュエリー製作の基本材料とも言うべき、
- 板
- 角線
- 平角線
- 丸線
の4種類を取ります。
あくまで参考例になりますが、
無駄なく材料を取り出すにはどうすればいいか、
というヒントになると思いますので、ぜひチェックしてみて下さい。
指輪
まずは最初の指輪の場合です。
基本的には、
幅と厚みをより多く必要とする材料から進めます。
ネックレス
限られた材料を有効活用する
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