この記事では、これからジュエリーブランドやアクセサリー作家を目指したい人に向けて、
「ジュエリーブランドの作り方」
をご紹介していまいります。
「作って売りたい」
という方に向けて解説していますので、
仕入れて販売したい、とか、
デザイナーや職人に丸投げしてブランドを立ち上げたい
といった方にとってはあまり参考にならないかもしれません。
あらかじめご了承ください。
下記の記事では、ネットショップの基本的な知識と「3通りの始め方」について、それぞれの特徴やメリットデメリット開設していますので合わせてご覧ください。⇒「ネットショップはじめの一歩!3つの方法メリットとデメリット」を見てみる
ジュエリーブランドを作る「6ステップ」
ゼロから始める、ジュエリーブランドの作り方は、全部で6つのステップになります。
- 作り方を知る
- 製品の方向性を決める
- コンセプトを決める
- 商品開発を行う
- 販売基盤を作る
- 販売活動を開始する
1.作り方を知る
ステップ1では、ジュエリーの作り方を覚えます。
まず「作って売りたい」のであれば、
当然、作り方を知らなければなりません。
市販のパーツ類を組み合わせて作るのではなく、ゼロからジュエリーやアクセサリーを作る主な方法としては、大きく分けて3つの製法があります。
- 貴金属加工(彫金)
- ロストワックス
- ジュエリーCAD
ちなみに、本来「彫金(ちょうきん)」とは、金属に彫刻を施す技法のことであって、金属工芸のひとつになりますが、現代において「彫金」とは、ジュエリー制作の総称のように使われています。
この記事では、主に貴金属を加工してジュエリー製作を行う
「貴金属加工(彫金)」
としてご紹介します。
なお、「彫金」については、下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧下さい。
⇒ 彫金とは
貴金属加工(彫金)
まず、「貴金属加工(彫金)」とは、金属を切りだしたり、叩いたり、伸ばしたり、溶接したり、削ったりして形を作り、石を留めたり、チェーンやピアスパーツなどと組み合わせて製品をつくる昔ながらのジュエリー製作方法です。
「貴金属加工(彫金)」については、ジュエリー制作ロードマップの中で、その工程を解説していますので、合わせてご覧下さい。
⇒ 貴金属加工
ロストワックス
ロストワックスによるジュエリー制作とは、
「ワックス(WAX)」
という
“ろうそくのロウ”
のような素材を使って、原型となる鋳型(いがた)を作り、
鋳造(ちゅうぞう)によって金属原型を制作する方法です。
ワックスが消失、消えてなくなるため、ロストワックス製法などども呼ばれています。
ロストワックス(ワックスモデリング)については、下記の記事でも詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。
ジュエリーCAD
ジュエリーCADは、先ほどのロストワックスのワックス原型を、建築のようなCAD(ジュエリーの場合は3次元)で制作する方法です。
パソコンやipadでデータを作成し、3Dプリンタで出力後、ロストワックス同様に鋳造して金属原型にします。
パソコンやipadで作成できますので、例えば、石枠の複製や、リングの腕の幅や厚みを、画面上で自由に編集できるメリットがあります。
ジュエリーCADについては、KANAITO さんが、詳しい記事を書いてくれていますので、合わせてご覧下さい。
「貴金属加工(彫金)」が必須
いずれの方法でも、石留めや仕上げには、
「貴金属加工(彫金)」の技法が必要です。
だから、貴金属加工(彫金)がもっとも基本となりますので、これから学びたい方は、
「貴金属加工(彫金)」を勉強すると良いでしょう。
逆に「貴金属加工(彫金)」を知らないまま、ワックスやCADだけをやってしまうと、製品の構造や、厚みや幅、線の太さに関しての最適なボリュームなどがわからなくて、現実的でない製品になる可能性があるし、
鋳造や加工を外注する際にも、ザックリとした見積もりが出せなくて、思った以上にコストがかかってしまい、大変な目に会う可能性もあります。
つまり、
「貴金属加工(彫金)」が基本となります。
なお、ジュエリーの作り方については、下記の記事も合わせてご覧ください。
2.製品の方向性を決める
ステップ2では、製品の方向性を決めます。
作り方を知り、自分の好きな製法、好きな技法を知ったら、次に、
どんな製品を販売していきたいか
を決めます。
これには、いくつかの切り口があります。
素材による分類
シルバーなら、シルバーアクセサリーに特化できますし、金やプラチナ・ダイヤなどを用いてハイジュエリーとして展開できます。
あるいは、全く別の素材(ガラス、皮、木材)等を組み合わせても良いでしょう。
ニーズによる分類
ファッションジュエリーの他にも、ブライダル、フォーマル、パワーストーン系など、ニーズによる分類もできます。
発祥文化のあるジュエリー
インディアンジュエリーやハワイアンジュエリー、アンティークジュエリーのような、文化的意味や、歴史を持つジュエリーが、発祥文化のあるジュエリーです。
コンセプト特化のジュエリー
天然石に特化したり、モチーフに特化したり、技法に特化したり、あるいは、人や環境、社会に配慮した素材を用いてエシカルジュエリーなど、特定のテーマに沿った切り口です。
コンテンポラリージュエリー
素材は問わず、作家の個性的なコンセプトやメッセージ性を基に制作されるジュエリーが
「コンテンポラリージュエリー」です。
先ほどのコンセプトよりは、アート性が強く、オブジェに近い感じのものも多くなります。
また、量生できないような一点ものが多いのも「コンテンポラリージュエリー」の特徴です。
ジュエリー制作ロードマップでは、様々なジュエリーデザインの切り口から製品の方向性を探る事ができますので、合わせてご覧下さい。
3.コンセプトを決める
ステップ3では、コンセプトを決めます。
作りたい製品の方向性が決まったら、
よし、さっそく商品を作ろう!
と、はやる気持ちはわかりますが、
ブランドのコンセプトがないと、自己満足で終わります。
だから、
- どんな製品を
- どんな人に
- どんなふうに販売するか
といったコンセプトを明確にしていきます。
ブランド名も、このステップで決めますし、ロゴや名刺といった活動のために必要なツールも作っていきますが、
コンセプトがないまま、なんとなく進めてしまうと、
自己満足になるばかりか、絶対にうまくいきません。
だからコンセプトが大事なんです。
コンセプトを綿密に設計するのです。
コンセプト設計では、
- なんのためにブランドをやるのか
- ブランドをつづけた先に何があるのか
- どんな価値観を持って活動するのか
- どんな人に届けるのか
- どんな製品を届けるのか
- どのようにして届けるのか
- 市場の中で、どのような立ち位置を目指すのか
- 自分の強みや弱みは何なのか
といった、これからブランド活動をしていく根幹、核となるようなものを決めていきます。
ただし、コンセプト設計は
100%完璧である必要はありません。
むしろ、
60%くらいにしておいて、
実際に活動しながら育てていきます。
4.商品開発を行う
ステップ4では、商品開発を行います。
コンセプトができたら、いよいよ商品開発を行っていきます。
商品には、製品本体以外にもパッケージが必要ですので、商品企画の中で決めていきます。
価格も決定します。
そして、写真や動画も撮影しなければなりません。
ちなみに、ジュエリーは
安いからと言って売れる商品ではありません。
むしろ、高額な商品を用意しておいたほうが、ブランドの価値も高まるし、高額な商品があるから、買う人もいて、売れれば、資金も潤います。
このことを頭にいれつつ、商品開発を行っていきます。
商品開発の詳細については、「ブランド作りのロードマップ」の中で、詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
⇒ 商品開発
5.販売基盤を作る
ステップ5では、販売するための基盤を作ります。
販売基盤では、
実際に商品を売る仕組みを作ります。
ステップ4の「商品開発」と合わせて、販売基盤を作っていくと、商品開発の段階から、ユーザーの興味関心を高める事ができますので、なるべく並行して進めていくと良いでしょう。
なお、販売基盤では、「ネットショップ」が真っ先に思いつくかと思いますが、あえてネットショップは持たずに、イベントでの販売や、インスタを中心にした販売方法なども有効だと思います。
なぜなら、
いつでも買えるネットショップと違い、希少性が高まるからです。
販売基盤をどのように作っていくかは、
ステップ3のコンセプトによります。
一点もの中心に販売していくのであれば、ネットショップなど持たず、ブランド名や作家名だけを広めていって、希少性を高めたほうがいいでしょうし、
天然石のジュエリーであれば、天然石1個1個をネットショップに数多く展開できれば、安定してアクセスを集められるかもしれません。
いずれにしても、
販売基盤も「コンセプト」ありきになります。
6.販売活動を開始する
ステップ6では、いよいよ販売活動をスタートさせます。
販売基盤ができたら、
いよいよデビュー!
ということになりますが、集客できないうちは、
まったく売れない
と思ってください。
集客が97%
売上を公式で表すと、
客数 x 購入転換率 x 単価 x リピート回数
になります。
これは、かけ算なので、どんなに良い商品でも、どんなに良い商品ページを作ったとしても、集客出来ずに、アクセス数がゼロなら、当然売上がゼロとなります。
だから、客数以外はとりあえず1%ずつと捉えて、
集客が97%だと考えます。
集客さえできれば、
おのずと売れます。
もし、集客できても売れないのであれば、
残りの3%を改善すればいいだけです。
なお、集客については、下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧下さい。
まとめ
以上、今回は、これからジュエリーブランドやアクセサリー作家を目指したい人に向けて、
「ジュエリーブランドの作り方」
をご紹介していまいりました。
ジュエリーブランドの作り方:6ステップ
- 作り方を知る
貴金属加工(彫金)、ロストワックス、ジュエリーCADの3つの製法を学ぶ。基礎技術として貴金属加工の習得が推奨されます。 - 製品の方向性を決める
素材やデザイン、文化的背景、コンセプト特化など、自分の作りたい製品の方向性を明確にします。 - コンセプトを決める
ブランドの目的、価値観、ターゲット顧客などを具体的に設計。ブランド名やロゴなどの制作もこの段階で行います。 - 商品開発を行う
製品本体だけでなく、パッケージや価格設定、写真・動画撮影を含む商品企画を実施。高額商品の取り扱いも考慮します。 - 販売基盤を作る
ネットショップやイベント販売、SNSを利用した販売方法を検討。コンセプトに合わせた販売手法を構築します。 - 販売活動を開始する
販売基盤が整ったら販売を開始。ただし、初期段階では集客が重要で、売上は客数に大きく依存するため、まずは集客に注力します。
「ジュエリーブランド」を作るうえで、最も大切なことは
ブレないコンセプト設計です。
作品のクオリティを気にされる方もいらっしゃいますが、コンセプトさえ、ブレずにしっかりしていれば、
その時の技術、その時の思い、その時にしか作れなかった貴重な製品となります。
やがて、その製品は
ブランドの歴史となります。
結果を恐れず、
どんどんチャレンジしていきましょう!