【全37種】石留めの種類と技法を紹介!ころし留めや伏せ込みなど解説!

ジュエリー制作石留めの種類と留め方の概要 石枠や石留め

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ジュエリー制作において、石留めの技法は、爪留めや覆輪(フクリン)留め、伏せ込みなどたくさんあります。

 

デザインによっては、どうやって石留めすればいいか判断が難しい場合もあり、

石留めしてしまってからは、後戻りできません。

そこで今回は、ジュエリー制作に必要な、

石留めの種類37種と、その留め方の概要

についてまとめました。

 

制作する際の参考にしていただければ幸いです。

 

ナレッジベースでは、石留めの名称と写真・要点のみまとめてあります。すぐチェックしたい方はナレッジベースをご利用下さい。⇒「石留めの種類と技法の概要」を見てみる

 

留め方は大別して3パターン

ジュエリーの石留めには、いろんな留め方がありますが、まとめると、次のように大きく分けて3パターンになります。

①爪で留める
②地金で留める
③その他の留め方

 

さらに、これら3つの留め方から、さらに枝分かれしていくイメージです。

石留めの種類

石留めの種類イメージ

 

ここから、ひとつずつ解説してまいりますが、

「MENU|メニュー」から、目的の石留め技法を見つけることもできます。

ぜひご活用ください。

 

 

下記の記事では、宝石のカット全25種類について、画像付きで詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「【全25種】宝石のカット種類一覧」を見てみる

 

①爪で留める方法

はじめに、最もポピュラーな留め方が、爪留めです。

海外では「プロング・セッティング」「クロー・セッティング」とも言われます。

 

石が乗る台座と、その周りに2本以上の爪を立てた「石座(シャトン)」を制作し、その爪を倒して石留めを行います。

 

最も代表的な爪留めに「ティファニーセッティング(ティファニー爪)」があります。

画像出典:https://www.etsy.com/

 

エンゲージリング(婚約指輪)の代表的な留め方となっていて、あらゆる方向から光が入り、ダイヤモンドの輝きをより一層引き立てる事ができる留め方です。

 

爪留めは2種類に大別できる

ジュエリー制作の爪留めには大きく分けて2種類あります。

一つ目は、

1個石や中石向けの爪留めです。

 

もう一つは、

メレ石を留めるための爪留めです。

・1個石や中石向けの爪留め
・メレ石を留めるための爪留め

ここからは、ひとつずつ解説してまいります。

 

下記の記事では、宝石の耐久性とモース硬度について解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「ジュエリー制作時は要注意!宝石の耐久性とモース硬度について」を見てみる

 

中石向けの爪留め

まずは、1個石や中石(メインストーン、センターストーン)向けの爪留めです。

爪の形状で、製品の印象がガラリと変わりますので、

石やデザインのバランスを見て、爪の形状を検討します。

 

立爪

「立爪」は、ラウンド・ブリリアント・カットの1個石に多く使われている留め方です。

石を高く持ち上げて、爪を倒して挟み込んで石留めします。

爪の本数は4本または6本が主流で、爪の間からたくさん光が入り、石がより美しく輝く留め方です。

光を多く取り込める立爪

光を多く取り込める立爪

 

カテドラルセッティング

「カテドラルセッティング」は、石を高い位置に持ち上げて、両脇をスロープで支える留め方です。

エレガントな印象に仕上がります。

エレガントな印象

エレガントな印象

 

鬼爪、わし爪

宝石から飛び出したような大きな爪の事を「鬼爪(おにづめ)」と言います。

鬼爪をアレンジして、鷲のクチバシのような形状のものを「わし爪」と言います。

パールや珊瑚など球体の宝石にも多く見られます。

 

宝石から飛び出したような大きな鬼爪(AI画像)

宝石から飛び出したような大きな鬼爪(AI画像)

鷲のクチバシのようなわし爪

鷲のクチバシのようなわし爪

 

おがみ爪(ふくろ爪)

マーキスカットやペアシェイプカットのように、尖った部分がある宝石に主に使用される爪留めの方法で、尖った部分を包み込むようにして留める方法です。

尖った部分はぶつけやすく、石によっては欠けやすいウィークポイントになります。

尖った部分をしっかり覆ってあげる事で強度を高め、使いやすく、長く愛用できるようにします。

石の強度を高めるふくろ爪(AI画像)

石の強度を高めるふくろ爪(AI画像)

石の尖った部分を覆っている

石の尖った部分を覆っている

 

けん爪

ヒスイやオパールなど、比較的、高価なカボションカットの色石やパールに多く見られる爪留めの形状です。

爪の断面が、やや三角形になるため「三角爪(さんかくづめ)」とも呼ばれます。

カボションカットに多い「けん爪」(AI画像)

カボションカットに多い「けん爪」(AI画像)

先端がやや三角形になる

先端がやや三角形になる

 

丸爪、並爪

ごく普通に使用される爪留めの形状で「並爪(なみづめ)」とも呼ばれています。

爪があまり目立たず、丸みを帯びているため丸爪と呼ばれます。

一般的に多い丸爪(AI画像)

一般的に多い丸爪(AI画像)

「丸爪」や「並爪」とも言われる

「丸爪」や「並爪」とも言われる

 

丸線爪、玉爪

丸爪同様に、あまり目立たない爪ですが、主に丸線を利用して、先端を丸くして用いられます。

また、先端を玉のように丸くした爪は「玉爪」と呼ばれています。

主に丸線を利用して留められる

主に丸線を利用して留められる

 

平爪、板爪

「平爪(ひらづめ)」「板爪(いたづめ)」は、止まる面積が広いため、しっかり留められるという長所があります。

平爪をさらに広くした爪が、板爪となります。

面積が広いためしっかり留まる

面積が広いためしっかり留まる

 

 

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メレ石向けの爪留め

爪留めの中でも、ダイヤモンドのメレ石などを留めることが多い爪留めの技法を解説していきます。

中石を引き立てたり、メレ石だけのファッションジュエリーも多くあります。

メレ石向けの爪留めは、大きく分けて、

・線爪(せんづめ)
・割爪(わりづめ)
・板爪(いたづめ)
・傘爪(かさづめ)

に大別されます。

 

線爪

「線爪(せんづめ)」は、ラウンドカットの石以外にも、多く用いられています。

 

割爪

割爪は、立爪を小さくしたような形で、ラウンドカットに主に用いられます。

パイプを割ってすり出して作られる事も多い作り方です。

 

パイプを割って作る割り爪座

パイプを割って作る割り爪座

 

板爪

「板爪」は、平爪の面積を広くしたのが板爪で、線爪よりもしっかり留めることが出来ます。

 

傘爪

「傘爪」は、複数の石の中央に共有となる爪があり、外側に各石を留めるための爪を作って留める方法です。

中心の地金が共有爪になっている(AI画像)

 

 

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下記の記事では、デザインによって異なるジュエリーの仕上げ工程について、その手順を解説していますのでご覧下さい。⇒「デザインによって異なるジュエリーの仕上げ工程」を見てみる

 

②地金で留める

石留めの方法、2つ目は、地金で留めるやり方です。

 

地金で留める石留めの種類は、大きく分けて

・覆輪(フクリン)留め
・彫り留め

の2種類になります。

 

フクリン留めや彫り留めには「タガネ」が必要になります。下記の記事で、タガネの種類について詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「彫金や石留めに必要な”タガネ(鏨)”の種類」を見てみる

 

覆輪(フクリン)留め

カジュアルなファッションジュエリーにも多く見られるのが「覆輪(フクリン)留め」で「ベゼルセッティング」とも言われています。

「覆輪(フクリン)」というパーツで、石を覆って留める方法で、比較的大きな石を留める場合に多く見られます。

 

ファセットカット用

ファセットカット用の覆輪留めは、石のガードル部分を少し覆うように石留します。

地金を被せ過ぎずに、石を大きく見せる事が大切です。

ファセットカットのフクリン留め

ファセットカットのフクリン留め

 

カボションカット用

カボションカット用の覆輪留めは、石の周りを覆うように覆輪を倒していきます。

ファセットカット同様、地金を被せ過ぎずに、石を大きく見せる事が大切です。

カボションカットのフクリン留め

カボションカットのフクリン留め

 

覆輪にデザインを施したもの

覆輪留めに使われる覆輪のパーツには、シンプルな地金面だけでなく、いろんなデザインを施す事も可能です。

 

ミルで縁取ったタイプ

覆輪の周りにミル打ちを施し、クラシカルでどことなくアンティーク調に仕上げるタイプです。

引用:DAVID YURMAN(https://www.baileybox.com/)

 

ギザギザ模様にしたタイプ

インディアンジュエリーでよく見かけるデザインで、覆輪の縁をギザギザにしたタイプでカッコよく見えます。

 

立体的に表現したタイプ

立体的にデザインしたり、透かしを入れたりした覆輪のパーツもあります。

 

 

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下記の記事では「タガネ」の作り方を、動画で解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「彫金や石留めに必要な”タガネ(鏨)”の作り方!平タガネ製作編」を見てみる

 

彫り留め

穴を開けた地金に石を入れ、タガネを用いて石留めする方法が「彫り留め」です。

「彫り留め」にも、たくさんの種類があります。

 

ポンチ留め

「ポンチ留め」では、地金に穴を開けて石をセットしたら、その周りにポンチを打ち、地金を寄せる事で石が留まります。

最低2点でも留まりますが、ポンチを打つ位置によっては、石が動く場合がありますので、確認しながら進めていきます。

石留めの技法|彫り留め|ポンチ留め

石留めの技法|彫り留め|ポンチ留め

 

玉留め(ミル留め)

「玉留め(ミル留め)」は、魚子(ナナコ)タガネを使用して、石の周りに玉を作って爪とし、石留めを行います。

4点で留める場合と、石の周りに一周ミルを打ったり、全面にミルを打ってキラキラと光らせ、華やかに仕上げる場合があります。

4点で留める場合は、指輪の内側に石を留める際にも応用が利きます。

石留めの技法|彫り留め|ミル留め(玉留め)

ぐるっと一周ミル打ちしたタイプ

 

彫り留め(はつり留め、毛彫り留め)

「彫り留め」は、彫りタガネで地金を彫り起こして爪とし、石を留める方法です。

彫り起こした爪は、ナナコタガネ(玉ぐり工具)で丸めます。

石留めの技法|彫り留め

石留めの技法|彫り留め

 

ころし留め(伏せ込み)

「ころし留め(伏せ込み)」は、石が埋まっているように留める、もっともシンプルな彫り留めの方法です。

服などに引っ掛かからない、すっきりとしたデザインにまとまるのが特徴です。

すっきりとした印象のフセコミ

 

後光留め

「後光留め」は、文献やサイトによっては「五光留め」とも言われる場合があります。

彫り起こした爪で留めた石から、星のように放射状に彫りを加えるデザインで、後光がさしているように見えるため、後光留めと呼ばれています。

石の周囲に光が差し込んだように見え、石の輝きが高めまる効果があります。

石留めの技法|彫り留め|後光留め

石留めの技法|彫り留め|後光留め

 

チョコ留め(爪あり、爪なし)

「チョコ留め」は、伏せ込みに似ていますが、石の周りが「お猪口(ちょこ)」のように見えるため「チョコ留め」と言われています。

チョコ留めには、爪があるものと、爪がないものとあります。

爪があるタイプは、メレ穴を開けて、石の周りに照り返しを作った後、毛彫りタガネで爪を掘り起こし、ナナコタガネで丸めて留めます。

爪がないタイプは、メレ穴を開けて石をセットしたら、石の周囲を叩いて地金を寄せて留め、片切りタガネで照り返しを作ります。

いずれも、石が大きく見える効果があります。

石留めの技法|彫り留め|チョコ留め(爪あり)

石留めの技法|彫り留め|チョコ留め(爪あり)

石留めの技法|彫り留め|チョコ留め(爪なし)

石留めの技法|彫り留め|チョコ留め(爪なし)

 

マス留め

「マス留め」は、石の周囲を、升のように四角に区切って石留する方法です。

四角い升が、宝石を大きく見せる効果があります。

石留めの技法|彫り留め|マス留め

石留めの技法|彫り留め|マス留め

 

連マス留め(連マス)

マス留めを連続して留めたものが「連マス留め(連マス)」と言います。

碁盤の目のように、枠取りする事を「マス切り」と言い、連なるマスが華やかに見えます。

石留めの技法|彫り留め|連マス留め

石留めの技法|彫り留め|連マス留め

 

連留め

連マス留めとは異なり、地金にメレ穴を開け、タガネで起こした爪で、複数のメレ石を連続で留める方法です。

地金の面積が少なく、石が連なって華やかな印象になります。

 

共有留め

連留めは通常、石の周りを4点で留めますが、並んだ石同士の爪を共有爪として、さらに地金面を少なくし、石を大きく見せる留め方です。

しかし、石の数が少ないと、すき間が多くできますので注意が必要です。

すき間なく、びっしりと共有留めされたジュエリーはとても華やかに見えます。

 

レモン留め

マス留めが四角形に対して、「レモン留め」はマーキス状の形を石の周囲に彫ります。

メレ穴を開けて石を競って押したら、左右対称に片切りタガネで彫り、マーキス状に彫跡を残します。

最後に、毛彫りタガネで上下2点の爪を起こし、ナナコタガネで丸めて完成となります。

石留めの技法|彫り留め|レモン留め

石留めの技法|彫り留め|レモン留め

 

ナワ留め

レモン留めの応用として「ナワ留め」があります。

彫り跡が「縄」のように見えることから「ナワ留め」と言われています。

連続して留めないと「縄」のように見えませんので、連続して彫り留めを行う事が多くなります。

石留めの技法|彫り留め|ナワ留め

石留めの技法|彫り留め|ナワ留め

 

キラキラ留め

「キラキラ留め」は、石の周りを片切りタガネでカットして、キラキラとした面(テクスチャー)を加えて仕上げます。

彫り跡はバリと角(カド)が多く出ますので、強めにバフがけします。

 

一文字留め

小粒の石を横一直線上に数個並べた指輪を「一文字リング」と言います。

ラウンド・ブリリアント・カットのダイヤ以外にも、ルピーやサファイアなど、石の種類も可っとも様々なデザインがあります。

一文字型に並んだダイヤ(AI画像)

 

パヴェ留め(パヴェセッティング)

「パヴェ」はフランス語で「石畳」という意味で、小粒の石をすき間なくびっしり敷き詰める石留めの技法です。

石を留めるための爪を残しつつ、地金に穴を開けていきます。

0.1mm単位の精度が要求される高度なテクニックになります。

画像出典:https://www.etsy.com/

 

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下記の記事では、宝石に関する専門用語について、ジュエリー業界における慣用語、取引単位についてまとめましたので合わせてご覧下さい。⇒「宝石の重量単位とジュエリー業界の慣用語や取引単位について」を見てみる

 

③その他の留め方

最後にご紹介する石留の方法は、

・爪で留める
・地金で留める

以外の留め方になります。

デザインによってさまざまありますが、今回は、

・芯留め
・ミステリーセッティング
・インレイ
・レール留め
・テンションセッティング
・はさみ留め
・プレッシャー・セッティング

をご紹介します。

 

芯留め

「芯留め」は、パールや珊瑚など、片穴の開いた石を留める方法です。

地金に「芯」を立てて、接着剤で固定します。

ポイントは、芯から簡単に抜けないよう、芯を曲げたり、捻ったりして抵抗を作っておく事です。

 

ミステリーセッティング

表面からはいったいどうやって石留めしたのかわからない石留め方法が「ミステリーセッティング」です。

オーソドックスな方法として、石の表から見えない部分に穴をあけ、地金をかませて抜けないようにしています。

 

インレイ

「インレイワーク」等とも言われ、インディアンジュエリー多く見られる技法で、石や貝殻を細かくカットしてシルバー枠にすき間なくはめ込んでいく留め方です。

 

レール留め

「レール留め」は、溝を切った2本の地金面で数個から数十個の石を挟み込んで留める方法で「チャネルセッティング」「溝留め」とも呼ばれています。

石同士の間に爪がありませんので、エレガントな雰囲気に仕上がります。

 

テンションセッティング

「テンションセッティング」では、地金の張力を利用して留める方法で、左右2箇所で石を挟んで留めます。

張力を出すため、肉厚なリング腕が多く、ニーシング社の指輪が有名です。

 

はさみ留め

テンションセッティングは、地金の張力を利用して留めますが「はさみ留め」は、地金に溝を切り、そこに石のガードル部分を挟み込んで留める方法で、バーセッティングとも言われています。

石の対角線上、2箇所に溝を切って、2点で留めるようにします。

 

プレッシャー・セッティング

「プレッシャー・セッティング」は、中石を周りのメレ石で抑えるように留める方法です。

中石の周りに爪が存在しないため、メレ石と合わせて1つの大きな石に見えます。

 

 

下記の記事では、宝石の本物と偽物について詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。⇒「宝石の本物と偽物の見分け方」について見てみる

 

石留めの種類と留め方の概要まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は、ジュエリー制作に必要な、石留めの種類と留め方の概要について解説致しました。

 

中でも「彫り留め」は、タガネから作る必要がありますし、たくさん練習する必要もあります。

タガネの作り方や、彫り留めのやり方については、今後、記事にしてまいります。

 

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以下の記事では、初心者におすすめの彫金工具一覧をまとめましたのぜひご覧下さい。⇒「彫金を始めるための工具リスト」を見てみる

 


 

参考文献

 

以下の記事では、初心者におすすめの彫金工具一覧をまとめましたのぜひご覧下さい。⇒「彫金を始めるための工具リスト」を見てみる

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