「彫金(ちょうきん)」とは、現代において、ジュエリー制作技法の総称のように使われています。
金属を加工して自由に形を作り、アクセサリーやジュエリーを作り出す事ができる、素晴らしい金属工芸技法です。
ハンドメイドブームもあって、アクセサリー作家も一気に増えました。
しかし、市販のパーツを使ったアクセサリー作家が多いため、
- 他の作家との差別化が難しい
- すぐに真似されてしまう
といった悩みもあるようです。
そこで、自由に形を作る事ができる「彫金」に注目が集まり、
彫金を学びたい
と考える人が増えてきています。
この記事では、これから彫金を始めたい人に向けて、
- 基本的なやり方
- 必要な工具や材料
- おすすめの学習方法
- 彫金教室の選び方
など、始めに知っておきたい情報を網羅的にご紹介します。
彫金の基本的なやり方
まず、
彫金とはどんな技法なのか?
その基本的なやり方を簡単にご紹介します。
彫金でアクセサリーを作る基本のやり方
彫金でアクセサリーを作る基本的な流れは、次の通りです。
- 金属の切断
- 成形加工
- ロウ付け
- 石留め
- 研磨仕上げ
1.金属の切断
まず、材料となる金属を切断していきます。
基本的には「糸鋸」を使って金属を切ります。
2.成形加工
切断した材料を、ヤスリで削ったり、穴を開けたり、折り曲げたりして形を作ります。
多くの場合、複数のパーツとして成形加工し、次の工程「ロウ付け(溶接)」で組み立てます。
3.ロウ付け
「ロウ付け」は、溶接の一種です。
「ろう材」と呼ばれる、母材よりも低い融点の材料を用意し、バーナーで加熱して温めて溶接を行います。
彫金の醍醐味ともいえる工程で、パーツが多ければ多いほど、ロウ付けの工程は複雑になりますが、その分、デザインの凝った作品に仕上がります。
4.石留め
「石留め」も彫金の醍醐味と言えます。
「石留め」には、いろんな留め方がありますが、大きく分けて3パターンになります。
①爪で留める
②地金で留める
③その他の留め方
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
5.研磨仕上げ
石留めが終わったら、全体を磨いて仕上げます。
主に「バフ仕上げ」によって仕上げを行いますが、仕上げも奥が深く、
- どこまで仕上げるか?
- どんな風に仕上げるか?
という風に、
ただピカピカに磨くだけではない
というのも、とても楽しい彫金の魅力のひとつだと言えます。
彫金に必要な工具
次に、彫金を始めるために必要な工具を簡単にご紹介します。
彫金を始めるために必要な「彫金工具」は、おおまかに次の通りです。
彫金机とすり板
彫金特有の「彫金机」は、独特の雰囲気があるカッコいい作業机です。
ただ、安くても6万円位からと値段が結構高く、これから始める方にとっては大きなハードルだと思います。
そのため、中古品を探すか、代替品を探す事をおすすめします。
彫金机と合わせて「すり板」も、彫金では必須の工具になります。
机に取り付けて、ほとんどの作業工程を、このすり板の上で行います。
糸鋸
いろんなメーカーから販売されていて、いくつか種類があります。
初心者の方であれば、自在式の深さ80mmの糸鋸フレームが良いでしょう。
糸鋸刃も、いろんなメーカーから番数の異なる糸鋸の刃が販売されています。
まずは、#0で慣れると良いでしょう。
彫金ヤスリ
彫金用のヤスリは「金工(金属工芸)」となります。
これからヤスリを揃える方は、以下の4種類のヤスリがあれば、ひと通りの作業がこなせると思います。
ヤスリについては、下記の記事で詳しくまとめていますので、合わせてご覧下さい。
ロウ付け台
「ロウ付け台」は、ロウ付け作業を行うために必要な設備です。
最低限用意したいものとしては、次の2つです。
- 耐火レンガ
- ハチノス(ハニカムブロック)
ガスバーナー
自宅でも安心して使える「ハンドバーナー」が便利です。
大きな作品を作るのでない場合は、「プリンス GB-2001」をおすすめします。
下記の記事では、自宅でも安心して使えるハンドバーナーを2つご紹介しています。
動画も含めて詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。
リューター
リューターはなくても作品は作れますが、磨きの工程で欲しくなります。
そして、リューターはメーカーによって様々な種類があるうえ、
数千円~十数万円までの品がありますので、初心者の方はとても悩むと思います。
初心者の方におすすめしたいのは約2万円で購入できるリューター
S&F マイクログラインダー Twister 200
です。
下記の記事では、おすすめしたい理由はもちろんですが、
- 長く使うために気をつけたいこと
- 低価格品のデメリット
も合わせて詳しくご紹介していますのでご覧下さい。
彫金工具に迷ったら
他にも、たくさんあって初心者の方は、とても迷うと思います。
初心者向けのおすすめ彫金工具リストとしてまとめましたので、合わせてご覧ください。
彫金材料
次に、指輪やネックレスの材料となる「彫金材料」についてご紹介します。
地金
地金(じがね)は、貴金属と貴金属以外に大別されます。
ろう材
金属同士をくっつけるのに必要なのが「ろう材」です。
銀には「銀ろう」、金には「金ろう」があります。
部材パーツ
丸カンやパイプ、チェーンや引き輪といった部材がメーカー各社から販売されています。
チェーンや引き輪といった、複雑な構造の部材は自作の難易度が高くなりますが、丸カンやパイプといった基本的なパーツは自作する事ができるのも彫金の魅力のひとつです。
宝石
宝石は、まず、天然か、人工の物か(人造も含む)に大別できます。
また、ダイヤモンドと、カラーストーン(色石)に分けられます。
カラーストーンは、エメラルドやルビーといったものです。
また、貴石と半貴石に分けることもあります。
貴石は、ダイヤモンド・エメラルド・ルビー・サファイア・パールなど一般的に価値が高い石で、半貴石は、貴石よりも希少価値、価格が低い石と分けられています。
おすすめの学習方法
これから彫金を始めたい方は、まず基本的な技術を学ぶことが大切です。
彫金でアクセサリーを作る基本的な流れにそって、各工程の基礎的な技法を学び、工具の使い方や、材料の特性を知る必要があります。
彫金でアクセサリーを作る基本的な流れ
- 金属の切断
- 成形加工
- ロウ付け
- 石留め
- 研磨仕上げ
おすすめなのは、通いやすい「彫金教室」で、
基礎的な技法を学ぶことです。
彫金教室に通うことで、専門家から直接指導を受けることができますので、
効率よく、かつ効果的に彫金の技法を身につけることができます。
彫金教室の選び方
彫金教室は全国各地にあり、多様な特徴があります。
- 彫金を体系的に学べる彫金教室
- 専門技法に特化した彫金教室
- プロ養成校のような彫金教室
このように、初心者から上級者まで幅広い選択肢がありますので、学ぶ目的に合わせて、彫金教室を選ぶことが重要になります。
彫金教室を選ぶポイント
彫金教室を選ぶ際には、以下の点に注意すると良いです。
- 講師の経験と実績
- 教室の設備と環境
- 受講料とカリキュラムの内容
また、口コミやレビューも参考にして、自分に合った彫金教室を見つけましょう。
下記の記事では、彫金教室を選ぶ「3つのポイント」について解説していますので、合わせてご覧下さい。
主要都市圏の彫金教室
全国主要都市圏の彫金教室をまとめました。
- 北海道エリアの彫金教室
- 東北エリアの彫金教室
- 関東エリアの彫金教室
- 中部エリアの彫金教室
- 北陸エリアの彫金教室
- 近畿エリアの彫金教室
- 中国エリアの彫金教室
- 四国エリアの彫金教室
- 九州エリアの彫金教室
- 沖縄の彫金教室
また、東京の彫金教室については特集ページがありますので、ぜひ参考にしてください。
彫金を体験する
彫金に興味がある方は、まず体験教室やワークショップに参加してみるのも一つの方法です。
体験教室では、簡単なアクセサリーを実際に作ってみることで、彫金の楽しさを実感することができます。
また、体験を通じて自分の興味や適性を確認することもできますのでチェックしてみると良いでしょう。
オンラインで学ぶ
当サイト「ジュエリークラフト」では、
をご用意しております。
ジュエリー制作のロードマップ
ジュエリー制作のロードマップでは、ジュエリー制作の技法を体系化して、わかりやすくまとめてあります。
オンラインでいつでも見ることができます。
ぜひご利用ください。
彫金教室に通いながら、自分の知識を整理するのにも便利です。
オンラインで学べる彫金内容
- 彫金の基礎知識
- 貴金属加工
- ロストワックス
- その他加工
- 量産化
- 石留め
- 仕上げ
- 彫金(彫り)
- 伝統技法
- 修理
※一部、制作中のページがございます。
コミュニティで質問する
また、当サイト「ジュエリークラフト」では、Discordによるコミュニティ「アトリーエ」を運営しています。
普段、1人で彫金を学んで、何かわからない事や、他の人の意見や考え方を知りたい時は、ぜひ「アトリーエ」にお越しください。
なお、ロードマップを含む「ジュエリークラフト」の全コンテンツ閲覧と、Discordコミュニティ「アトリーエ」は、月額800円となります。
詳しくは、メンバー特典をご覧下さい。
彫金で作るアクサリーまとめ
以上、今回は、これから彫金を始めたい人に向けて、
- 基本的なやり方
- 必要な工具や材料
- おすすめの学習方法
- 彫金教室の選び方
など、始めに知っておきたい情報を網羅的にご紹介致しました。
彫金の技術を学ぶことで、
自由な形でアクセサリーを作る事ができます。
彫金教室や体験、当サイト「ジュエリークラフト」のロードマップを通じて基本的な技法を学び、独自のデザインを追求することで、自分だけのオリジナル作品を生み出すことができます。
彫金に興味がある方は、ぜひ一歩踏み出して、彫金の世界に飛び込んでみてください。